健康な生活をおくるために、“腸の健康”が重要だということは、今や一般常識になりました。
肥満や糖尿病といった生活習慣病、そしてアンチエイジングや認知症など――様々な研究結果から、健康効果との関連性が示されています。
また近年は「腸活」「菌活」といった言葉を耳にすることも増えました。
2022年・流行語大賞トップ10に選ばれた『Yakult(ヤクルト)1000』は累計10億本を超えるヒット商品にもなり、多くの人がその健康効果に注目しています。
そして、そんな腸活において、今ホットなキーワードが「脳腸相関」。
脳腸相関とは「脳と腸の関係性」を表す言葉です。
この記事では、脳腸相関の基礎知識から、腸に関する知って得する情報をわかりやすくご紹介します。
また、腸内環境をよくするポイントや、生活にすぐ取り入れられるオススメの習慣もお届けします。
この記事を読めば、あなたも腸活通になれること間違いナシ!
これから腸活を始めたい方や腸の不調に悩んでいる方も、ぜひ最後までご覧ください。
脳腸相関とは「脳と腸が互いに密接に影響し合うこと」
「脳腸相関(のうちょうそうかん)」とは、脳と腸がお互い密接に影響し合っていることを指す言葉です。
大事な試験の前にお腹をくだしてしまったり、初めて訪れた旅行先で便秘になったり……。そんな経験をされたことはないでしょうか。
これはまさに脳からのストレスが腸へと影響を与えておきる現象で、「脳と腸の相関関係」を示す現象です。
このように、脳と腸は結びつきが強い関係にあります。
さらに詳しく説明すると、「迷走神経」というパイプを通して脳から腸へ、また腸から脳へと双方に情報を送り合っていることが明らかになっています。
また、こうした脳と腸の相関関係の研究が進み、現在では「腸にすむ腸内細菌の状態」が脳に影響を与えていることもわかりました。
九州大学で行われた研究「脳機能と腸内細菌叢」によると、腸内細菌の状態によってストレスの感じ方や行動パターンに変化が生じるという研究結果も出ています。
そしてストレスだけではなく、人が幸せを感じるために必要な「セロトニン」という神経伝達物質にも、腸が大きく関わっていることもわかっています。
それ以外にも腸内環境を整えることは、うつ病の改善・認知機能の向上・肥満予防にも効果が期待できるそう。
身も心も健やかな毎日を送るためには、「脳と腸の関係性」は今や無視できないテーマといえるでしょう。
腸内環境は心とストレスにも関係している
ここまでの説明で、脳と腸が密接に関係していることが、わかってもらえたかと思います。
ただ、中には「腸ってそんなに重要なもの? 脳みそが重要なのはなんとなくイメージが付くけど……」と思われている方もいるかもしれません。
体にある器官はどれもみな重要ですが、中でも腸は非常に重要な器官といえます。
その証拠として、腸には神経細胞が多く存在しており、その数はなんと約1億個にも及びます。
これは脳に次いで多い数で、さらにその細胞の一部は他からの指示がなくとも自立して働くことができる特徴をもっています。
こうしたことから、腸は「第二の脳」と呼ばれることもあります。
ちなみに、迷走神経とは頭からお腹に至るまで、たくさんの臓器とつながっている神経で、体のいろんな情報を脳に伝えたり、脳からの指示を臓器に届けたりする役割を果たしています。
つまり、神経細胞トップ1・2という体の中でも特に重要な基幹が心と体に影響しているのです。
さらに詳しく!知って得する腸内細菌の基礎知識
腸の環境を支配するのは腸内細菌で、約100兆個といわれる腸内細菌が腸の粘膜に生息しています。
腸内細菌はおおまかに「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3グループで構成されています。
この3グループの理想的なバランスは善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌7割といわれていて、このバランスが良いと腸内環境が整い、反対に「悪玉菌」が増えるなどバランスが崩れると腸内環境が乱れてしまいます。
では、善玉菌、悪玉菌、日和見菌にはどのような違いがあるのでしょう?
次の項目では、それぞれの役割と関係性について説明します。
腸内細菌 それぞれの役割
善玉菌は消化吸収を助け、免疫力をあげてくれる役割があります。主な菌は「ビフィズス菌」「乳酸菌」です。
ちなみに、腸活や安眠に良い!と巷で話題の『Yakult(ヤクルト)1000』は善玉菌を増やす効果がある「乳酸菌シロタ株」の摂取で腸内環境をととのえ、睡眠の質をあげるといった効果が実証されています。
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悪玉菌は便秘や下痢を引き起こし、お腹の調子を悪くします。
健康を害して病気の引き金ともなる菌で、「ブドウ球菌」「大腸菌」などがあります。ストレスによる自律神経の乱れや、野菜不足、加齢や細菌感染で悪玉菌は増加します。
日和見菌は健康な時は大人しくしていますが、状態によって善玉菌に味方したり、悪玉菌に味方したりします。体が弱っているときには、悪玉菌の味方となります。
「じゃあ、悪玉菌っていいことないよね。ゼロにした方がいいのでは?」そう考える方もいるかもしれませんが、その答えは「NO」です。
善玉菌と悪玉菌は常に戦っている状態にあるので、この悪玉菌がいなくなってしまうと、善玉菌が働かなくなってしまうのです。その結果、食べ物の消化や吸収がうまくできなくなってしまいます。
大切なのは、悪玉菌を増やさないように善玉菌を優勢にすること。そのために、日和見菌を善玉菌の味方につけるべく、腸内環境を整えることがポイントとなってきます。
腸内細菌で行動が変わる?
腸内細菌のバランスが体調に影響を与えていることは伝わったかと思いますが、行動にも影響があることはご存知でしょうか。
藤田紘一郎氏「こころとからだの免疫学ー腸内細菌の働きを中心にー 」のなかでは、腸内細菌が行動パターンに影響を与えることに触れています。
これによれば、腸内が無菌のマウスにストレスをかけると、不安に関係する行動として多動がみられますが、そのマウスの成長初期の腸に腸内細菌を定着させると不安レベルが低下し多動が減少するといった研究結果が報告されているそう。
腸内細菌の有無により不安の感じ方が変わり、それによって行動にも影響がでるということがわかります。
腸内環境を健やかに保つことは、心も健やかに保つことにつながります。
忙しい日常のなかでも一息つく時間をつくるなど、そういったストレス解消法も脳にも腸にもいい影響が与えられるかもしれませんね。
>「脳腸相関 自律神経」記事へのリンク
幸せホルモン「セロトニン」と大きな関係があるって本当?
セロトニンとは神経伝達物質のひとつで、精神を安定させて幸せを感じやすくする作用があります。
その効果から、別名「幸せホルモン」とも呼ばれています。
このセロトニンが脳内で正しく作用すると、気持ちが上向いて健康に過ごせるとされています。
しかし、全身で生成されるセロトニンのうち、脳で生成されるのはわずか2%。
残り90%ほどのセロトニンが腸でつくられています。
では、腸で生成されるセロトニンにも「幸せホルモン」としての役割はあるのでしょうか?
残念ながら腸でつくられたセロトニンそのものは直接脳に入ることはなく、脳でつくられたセロトニンとは別物です。
しかし、脳内セロトニン生成に必要となる必須アミノ酸「トリプトファン」は、腸から吸収されて脳へと送られます。そして「幸せホルモン」とよばれる脳内セロトニンとなるのです。
「トリプトファン」は体内で生成できないため、食物から摂取し腸から吸収されなくてはなりません。
このような理由からも、腸を健康に維持することは、幸せホルモン「セロトニン」を増やすことに一役買っていることがわかります。
>「脳腸相関 セロトニン」記事へのリンク
腸内環境を良くする5つのポイント
腸内環境の改善を目指したいと考えた時に思いつくのが「腸活」。
腸活とは腸内細菌のバランスをととのえて腸内環境をより良い状態にするための活動です。
腸活をするメリットとして、ストレスの軽減だけではなく、免疫力のアップや睡眠の質の向上も図れます。
では具体的に、なにをすれば良いのでしょうか?
ここでは腸内環境改善を目指して意識したいポイントを5つご紹介します。
【ポイント1】食事
まずは1日3食のなかで、次の腸に良いとされる食材を積極的にとりましょう。
人によっては2週間程で改善の効果を感じられますが、定着するには3か月はかかります。長い目でみて習慣化を目指しましょう。
発酵食品
食材:ヨーグルト、味噌、納豆、ぬか漬け、チーズなど
効果:腸内細菌の餌となり、また悪い働きをする菌が増えるのを抑制します。
食物繊維
食物繊維には、水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けない「不溶性食物繊維」の2種類があります。どちらもバランスよく摂るのが大事です。
<水溶性食物繊維>
食材:昆布、わかめ、めかぶ、熟した果物、芋類
効果: 善玉菌を増やす
<不溶性食物繊維>
食材:ごぼう、きのこ、豆類
効果:水に溶けず便のかさましをしてくれ、腸の動きを活発にしてくれる
… … … おすすめメニュー … … …
水溶性食物繊維を含むとろろ昆布を使った「海藻ペースト」。
水分を多く含むので、フワフワな卵焼きやハンバーグを作れます!
>「脳腸相関 食事」記事へのリンク
【ポイント2】十分な睡眠をとる
睡眠不足は腸内細菌に影響を与え、消化や免疫系のバランスを乱す可能性があります。
特にストレスホルモンの分泌を増加させる恐れもあるため、十分な睡眠をとることが必要です。
成人に必要な睡眠時間は、一般的に7時間~9時間といわれていますが、時間にとらわれるのではなく、睡眠の「質」を高めることを意識しましょう。
・寝る前にスマホを見ない
・寝室を暗く静かな状態にする
・毎日同じ時間に起きて同じ時間に寝る
このようなことを習慣化すると、睡眠の質の向上に効果的です。
【ポイント3】腸のぜん動運動を意識する
腸のぜん動運動とは口から入った内容物を排泄するための腸の輸送運動です。
腸が縮んで緩む動きを繰り返すことでスムーズな排泄につながります。日常的にぜん動運動を意識して体を動かしてみましょう。
軽いウォーキング
腸に刺激を与えてぜん動運動を活発にします。有酸素運動なので体内に酸素を取り込むことで血液循環を向上させ、自律神経をととのえることもできます。
ストレッチ
腰をひねる動きは腸の動きも刺激してくれます。仰向けに寝転んでひざを立てた状態から、ひざを合わせた状態で左右の床に倒します。腰に無理のない範囲で行いましょう。
お腹のマッサージ
おへそをスタート地点として、掌で時計まわりにマッサージをしましょう。ひらがなの「の」の字を書くイメージです。腸が刺激されて動きが活発になります。
【ポイント4】ストレス緩和に効くツボ
そうはいってもなんとなくお腹の調子がよくないかも。そう感じたときは、次のツボを深呼吸しながら2〜3回を目安に押してみてください。手の周辺にあるすぐ押せるツボですので、心のお守りとして覚えておくのもおすすめです。
合谷(ごうこく)
効果:大腸につながっているためお腹の症状全般
場所:手の甲側で親指と人差し指の分かれ目、やや人差し指側にあるツボ
内関(ないかん)
効果:自律神経を正常にもどす
場所:掌を上に向けて、手首のシワから指3本分下、2本の腱の真ん中にあるツボ
温溜(おんる)
効果:腸の働きを改善
場所:親指を上にして肘を曲げ、手首と肘の内側を結ぶ線上、中間点より親指一本分手首側にあるツボ
【ポイント5】腸に効く!おすすめアイテム
毎日何気なく飲んでいるコーヒーやココア。これに腸内環境改善の効果を高めるシリーズがあることをご存じでしょうか。これを選んでおいしく飲んでいるだけで、気がついたら調子が良くなっているかもしれません。ぜひスーパーで探してみてください。
・バンホーテン「腸活ココア」
・ブレンディ®「毎日の腸活コーヒー」
>「脳腸相関 改善」記事へのリンク
まとめ
「あと5分だけ」「あともう1分」—こんなふうに布団からでる時間を引き伸ばし、活動前から思考を先走らせてなかなか起きられなくなる。そんな朝を迎えている方も少なくないはずです。
腸内環境をととのえて睡眠の質をあげたら、毎朝リセットされた気分でさわやかな朝を迎えられるかもしれません。
また腸の状態が良いと、試験や会議といった大事な場面で腹痛の心配なく臨め、不安に気をとられることなく本来の力を発揮できます。
脳と腸のつながりを意識した習慣は、より軽やかで快適な毎日に導いてくれるはずです。ぜひ日常生活に取り入れてみてくださいね。